深作欣二監督の代表作「仁義なき戦い」シリーズ。
その第4作にあたる「仁義なき戦い 頂上作戦」を観ました!
ネタバレなしで感想を書いていきます!
10点満点中8点
「仁義なき戦い 頂上作戦」のあらすじ・キャスト
【あらすじ】
昭和38年、東京オリンピックを翌年に控えた日本。
社会が戦後の混乱から立ち直りを見せる中で、暴力団には非難の目が向けられるようになっていた。
広島における広能組・打本会と山守組の抗争は、それぞれ神戸の明石組と神和会のバックアップを受けた代理戦争の様相を呈し、ますます激化するばかり。
そのさなか、一般市民が打本会組員により誤射されて死亡する事件が起き、マスコミは反暴力団キャンペーンを大々的に展開することとなる。
さらには警察がとうとう暴力団壊滅に向けた「頂上作戦」、つまり幹部クラスの検挙に踏み切った……!
【キャスト・基本情報】
監督: 深作欣二
出演: 菅原文太、金子信雄、梅宮辰夫、小林旭、田中邦衛、山城新伍
上映時間: 101分
ネタバレなし感想。激化する抗争とその静かな終焉が見どころ!
「仁義なき戦い」シリーズは暴力団同士の抗争を描くと同時に、日本や周辺国がたどった戦争の歴史をも描いてきました。
"組のため"というスローガンを信じて抗争に参加しては死んでいく若者に、日本から遠く離れた戦地で非業の死を遂げた兵士たちを重ねたり。
あるいは、争いを避けるために神戸の巨大組織の力を借りようとする広島ヤクザに、アメリカ・ソ連の言いなりになるしかなかった南北朝鮮やベトナムを重ねたりしていたわけです。
そして今作「頂上作戦」では、戦争したってなにも残らないというド直球のメッセージが投げかけられます。
前作「代理戦争」は暴力シーン少なめの政治劇といったおもむきでしたが、「頂上作戦」はもうこれでもかってくらい凄惨なシーンがてんこ盛り。
鼻を削がれてから殺される組員とかいますからね……戦国時代かよ。
でも、ここまで徹底的に暴力を見せつけるからこそ、もう戦争なんていやだ!という作品そのものの主張がよく伝わってきます。
ラストシーンも大きな見どころ。
これまでの「仁義なき戦い」シリーズのラストには、戦争に対するふつふつとした怒りが如実にこめられていました。
その点「頂上作戦」はちょっと違って、もうひたすらに虚しさが漂っているんですよね。
幹部クラスがひととおり検挙されてしまい、組そのものの存続すら危ぶまれる状況。
広島でのヤクザ抗争に戦後直後から身を投じてきた広能たちは、いったいなにを想うのか?
最後に流れるナレーションの内容は、太平洋戦争の日本ときれいに重なります。
暴力の時代の終わりを淡々と描いた、美しいラストシーンですぞ……!