今日取り上げる映画は
「清州会議」!
大の歴史マニアとして知られる三谷幸喜監督が、
初めて手がけた時代劇映画です。
織田信長亡き後の戦国時代の流れが、
戦ではなく「会議」で決まった歴史的イベントを、
三谷監督お得意の群像劇スタイルで描きます。
10点満点中6点
「清州会議」の予告編・あらすじ
天正10年6月、本能寺の変で織田信長が死んだ。
織田家の後継ぎを決めるため、
尾張国清州城において評定(会議)が行われることに。
織田家第一の家臣であった柴田勝家は、
信長の三男・信孝を擁して実権を握ろうとする。
一方、明智光秀を討った羽柴秀吉は、
これに信長の次男・信雄を擁して対抗。
両者ひとりでも味方を増やしたいところだが、
弱肉強食の戦国時代においては
誰の言うことも信用できない。
裏切りだらけの心理戦を勝ち抜き、
会議を制するのはいったいどちらか!?
「清州会議」のキャスト
・柴田勝家: 役所広司
織田家の筆頭家老。
実直な性格だが弁が立たず、心理戦は苦手。
・羽柴秀吉: 大泉洋
「サル」の異名を持つ、百姓上がりの武将。
織田信長のかたきを討った手柄をもとに天下を狙う。
・丹羽長秀: 小日向文世
柴田勝家のブレーン。
影響力を増す秀吉をなんとかおさえこもうとするが……
・織田信孝: 坂東巳之助
信長の三男。
人格者であり、勝家たちから信長の後継者として奉じられる。
・織田信雄: 妻夫木聡
信長の次男。
周りからは「うつけ(バカ)」と呼ばれている。
・織田三十郎信包: 伊勢谷友介
織田信長の弟で、兄ゆずりの西洋文化マニア。
後継者争いには関係ない立場なので、会議を冷めた目で見ている。
「清州会議」のネタバレなし感想
「清州会議」の一番の見どころは
圧倒的なキャスティング
にあります。
世間的には"練りに練った脚本"で見せる映画……
と思われがちな三谷幸喜作品ですが、
ぶっちゃけシナリオはそこそこ。
それよりも、
「この俳優をこんな使い方するのか!」
「この人にそんなセリフ言わせるのか!」
っていう意外性を楽しむのがいいんですよ。
たとえば今作でいうと、
羽柴秀吉役の大泉洋です。
「清州会議」の大泉洋はとにかく悪い!!
自分の利益のためなら
口八丁手八丁で相手を丸め込み、
嘘八百も平気でつきます。
でも全然憎めないからタチが悪い!
「ふだんいい人とかふざけた役とか多いから、
いっぺん悪役やらせてみたいな〜」
っていう三谷さんの顔が見えるような配役です。
大泉洋、凶悪犯罪者の役とかやっても
ぜったいハマると思うんだよな。
で、「清州会議」で
最も絶妙なキャスティングだな〜!
と僕が感心したのが
剛力彩芽演じる松姫です。
松姫は、もともと武田信玄の娘。
わずか7歳で政略結婚のため織田家に嫁いできた、
まさに時代に翻弄された女性なんですね。
映画公開当時、
剛力彩芽はちょうど売出し中の新人女優で、
ネットでは「ゴリ押し」とか言われて
軽く叩かれたりもしてました。
そんな彼女を起用するからには
きっと三谷監督のしっかりした意図が
あるはず……と思って見てましたが、
やっぱりちゃんとあったね!意図が!!
彼女の魅力が最大限に引き出された、
三谷映画屈指の名シーンが用意されてます。
ぜひぜひ楽しみに見てください!
「清州会議」の最優秀助演女優賞を剛力さんにあげたい
キャスティングで魅せるぶん、シナリオはあんまり?
「清州会議」のような歴史ドラマは、
いわばすでにネタバレされているお話。
勝家が勝つか、秀吉が勝つかなんてのは
見る人みんなわかってんですよね。
結末がわかってる状態で
どう観客の興味を持続させるかが
シナリオにかかってると思うんですが、
正直なところ今ひとつでした。
映画の前半、
勝家派と秀吉派がそれぞれ
有力者に根回しをするあたりは
まだスリリングに見れます。
が、中盤に挟まってくる
「紅白対抗旗とり合戦」とかもう意味不明。
一応は信雄のバカっぷりを浮き彫りにするとか、
後半のある展開への伏線になってるとかの
役割はあるんですけど、
ここだけあまりに周りと浮いた場面なので
おれはいったい何を見せられてるんだ……
という気分になるのは否定できません。
後半の忍者のシーンも蛇足だし、
「ずっと走り続ける滝川一益」も
無理やりギャグを増やした感じ。
てか戦国武将が馬も使わないなんてありえないし笑
舞台的なセットの使い方は一長一短
「清州会議」では、
ほぼすべての場面が清州城という
ひとつのセットの中で撮られています。
中庭を取り囲むように
主要登場人物たちの部屋があり、
それぞれの部屋や中庭での会話で
お話が進んでいくんですね。
このやり方は
いかにも舞台的だな〜と思いました。
演劇出身の三谷監督ならではの発想です。
部屋の様子でキャラクターを説明するやり方は、
登場人物の多い今作において
とても理にかなっています。
織田信雄の部屋には遊び道具が散らかっていて
いわゆる「オタク」であることがひと目で分かるし、
一方で織田信包の部屋には地球儀や椅子があり
信長によく似た人物だってすぐ伝わりますね。
ほかにも、登場人物の背後に
クジャクや虎、龍などの動物を映して
心象を表現する手法も、
自然な語り方でよかったなーと思いました。
一方で、
「清州会議」のセットは
話の内容と相性が悪いですね。
会議をめぐる謀略・心理戦のストーリーなのに、
登場人物が全員同じ空間にいて
考えてることを大声でべらべらしゃべる
なんて、さすがにどうよ。
舞台なら受け入れられるかもしれませんが、
映画の中でやられると
「おいおい聞こえるぞ!」
ってツッコミたくなるんですよね〜。
このへんは、
時代劇にばしばし予算を投入できない
日本映画界の限界かもしれませんが。
記事がずいぶん長くなったので
強引にまとめると、
「清州会議」は剛力彩芽がすごい映画
です、いや冗談抜きで。
剛力彩芽目当てにみんな見よう
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