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【ネタバレなし】映画「来る」のあらすじ・感想。全然怖くないし、中島テイストも皆無

今回観た映画は「来る」
個性的な映像で知られる中島哲也監督が、初めて手がけるホラー映画。
「最エンタテインメント」と銘打たれたこの作品を、ネタバレ無しでレビューしていきます!

10点満点中1点

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(出典:映画『来る』予告 - YouTube)

「来る」のあらすじ・キャスト

【あらすじ】
製菓会社に勤める田原秀樹(妻夫木聡)には、不思議な記憶があった。
子供の頃に祖父母の家で過ごしていたとき、玄関口に得体の知れない"なにか"がやってきたことがあったのだ。

営業先のスーパーで働いていた香奈(黒木華)と知り合って結婚、娘の千紗も産まれ、新しいマンションも購入。
家庭も仕事もすべてが順調かに思われた。

ところがある日仕事から帰ってくると家の中がぐちゃぐちゃに荒らされ、飾ってあったお守りやお札がことごとく切断されていた。
家の奥でうずくまっておびえている香奈と千紗。

「とうとう"あれ"が来たのか……!」
友人の民俗学者のツテをたどって霊能力者を探し出し、家族を守るために除霊しようとする秀樹だったが……

【キャスト・基本情報】
出演: 岡田准一、妻夫木聡、黒木華、小松菜奈、松たか子
監督: 中島哲也
上映時間: 134分

ネタバレなし感想。怖くもないし映像も平凡。何を期待すればいいのか?

劇場に足を踏み入れる前、「来る」にはふたつの要素を期待していました。
すなわち、ホラー映画としての面白さと、中島哲也ならではのぶっとんだ映像です。

ところが「来る」には、ホラー映画の面白さも中島哲也テイストも全然ありませんでした。
はっきり言って、何を期待して見ればいいのかさっぱり謎な映画です。

ただただお金を無駄にしたぜ……


まずホラー映画としての「来る」について語りましょう。
「来る」はその予告編からわかるとおり、「何が来るのか?」が徹底して隠されています。
名前も見た目もわからない、とにかく何かおぞましい"あれ"がやってくる。
"あれ"の正体は一体何なのか?がストーリーを牽引する力になってるわけです。

でも、"あれ"が結局なんだったのか全然わからない。
「標的に噛み傷を残す」という手がかりが与えられる割には、最後に出てくる"あれ"はとても相手に噛みつくような姿をしていません。
どうやって妻夫木聡の後輩を傷つけたり、柴田理恵の腕を噛みちぎったりしたんだ?
観客としては「きっと想像を超えるようなオチがあるに違いない」と期待してしまうんですけど、その期待は宙ぶらりんのまま映画が終わってしまうんです。

次に、中島哲也テイストの映画としての「来る」について。
中島監督といえば、「下妻物語」「嫌われ松子の一生」に代表される、独特のクレイジーな映像が持ち味ですよね。
あの中島テイストの映像が、ホラームービーとどんな融合を果たすのか?と見る前からワクワクしていたんです。

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しかし、その期待は見事に裏切られました。
「来る」全編を通して、印象に残るような中島テイストの映像はほとんど見られなかったです。

強いていえば、神社の神職が現代東京のど真ん中で儀式をあげるところと、赤ん坊で埋め尽くされる河原のシーンは見てておもしろかったけども。
ほかはホラー映画としても使い古された表現ばかりで、新鮮さはまったく感じられませんでした。
せっかくあれだけアクの強い映像を撮れる人なんだから、もっと悪夢感あふれる画でこちらを震え上がらせてほしかったよ。

もっとも中島節が全開だったのはラストシーンですが、あれはねぇ……
岡田准一演じる野崎が、最後につぶやいたセリフをそっくりそのまま監督にも投げ返したいと思います。


「なんだそれ」


渾身の「お祓いフェス」も空回りしすぎでしょ

「来る」のクライマックスとして用意されているのが、"あれ"と霊能者集団との全面対決、通称「お祓いフェス」です。

神職、僧侶、沖縄の巫女、さらに謎の科学者たちまでが一体となって"あれ"に対抗する様子は、見ててなかなかテンションあがります。

でも、どうしても空回り感が否めないんです。
なぜかというと、"あれ"のパワーと標的、そして祈りの規模が全然マッチしてないから。

"あれ"は確かに凶悪な悪霊ですが、やろうとしているのは田原家の人々に危害をあたえることだけ。
狙いはものすごくピンポイントですよね。

ところが、それに対抗するのは日本中から集められたと思しき霊能者集団です。
警察の上層部まで動かして近隣住民を避難させ、一大決戦を挑みに行きます。
まるで、国家存亡の危機でもあるかのようなスケールです。
この時点で「いくらなんでも大げさやろ」と思ってしまうんですよね。

で、実際に"あれ"がやってくると……
祈りを捧げる神職たちを次々にひねり潰すわ、地割れを起こすわ、めちゃくちゃ強い!
すると次の疑問が浮かび上がってくるわけです。


そんなに強い悪霊なのに、どうして田原家を滅ぼすのに手こずってるの?


ずーっとつけ狙っていた妻夫木聡を襲うだけでも、関係ない後輩くんや柴田理恵を手にかけるばかりで時間かけすぎ。
他人の声色を使えるような知恵と、建物を壊せるようなパワーもあるなら、さっさと田原家まるごと殺してしまえばいいのに……
強力さに対して、目的があまりにも小さすぎます。
まるで「仮面ライダー」に登場する、世界征服を目論みながらも幼稚園ばかり襲っている秘密結社みたいなもんです。

あれだけの規模で対決するなら、せめて「ノロイ」に登場する「かぐたば」くらい強力で、放っておくと世界を滅ぼしかねないくらいの設定にしとかなきゃいかんやろ。

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ということで、どうにも冷めた目線でしか「お祓いフェス」を見ることができなかったのでございます……

ストーリーを理解するには原作小説を読もう

「結局、"あれ"ってなんだったの?」
「どうして狙った相手に噛み傷を残していたの?」
といった疑問への答えが知りたい方は、原作小説を読むのがおすすめです。

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

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第22回日本ホラー小説大賞を受賞した作品だけあって、少なくとも映画よりはずっと面白い。
民俗学的な"あれ"への考察も実にそれらしく描かれていてリアリティがあります。
映画がイマイチだった人も楽しめると思うので、ぜひどうぞ。


褒めるところがほとんど見つからないこの映画、俳優陣の演技が素晴らしかったのだけが救いでした。
妻夫木聡はあの笑顔が憎たらしくなるほどダメダメな父親を好演していたし、小松菜奈の見た目はドギツイけど中身は真面目で優しいキャバ嬢霊媒師もよかった。
それだけに脚本の雑さが本当に残念!!
中島哲也監督には好きな作品も多いので、次回作に期待します。

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