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【後半ネタバレ】「へレディタリー(Hereditary)」の感想。10年に1度の傑作カルト・ムービーにひれ伏せ!

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(出典:Hereditary | Official Trailer HD | A24 - YouTube)

と、と、と、とんでもない映画を観てしまいましたああ!
今年最恐のホラー映画との呼び声も高い「へレディタリー」を鑑賞してきました。
プレミア上映されたサンダンス映画祭では「怖すぎる」「どうかしてる」と話題騒然となったこの映画、はたしてどんな内容だったのか!
まずはあらすじと基本情報からどうぞ。

「へレディタリー」のあらすじ・基本情報

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(出典:Hereditary | Official Trailer HD | A24 - YouTube)


【あらすじ】
ミニチュア職人のアニーは、夫のスティーブ、息子のピーター、娘のチャーリーとともに森の中の家で暮らしている。
母親のエレンが3年に渡る介護の末に亡くなり、葬儀をあげることとなった。
その直後にアニーは仕事部屋でエレンの幻を目にし、得体の知れない不安を感じる。
またスティーブのもとには、エレンの墓が何者かによって掘り返されたとの一報が入っていた……

しだいに情緒不安定になっていく自身を案じたアニーは、家族を失った人々のためのカウンセリングに参加する。
押しこめていた言葉を発露させる場所を手に入れ、一時期は平穏を取り戻したアニー。
しかし家族にさらなる不幸がふりかかり、アニーはますます追い詰められていく。

一家に襲いかかっている怪現象の正体は何なのか?
祖母エレンが最後まで家族に隠していた秘密とは?


【キャスト、基本情報】
監督・脚本: トニ・アスター
出演: トニ・コレット、アレックス・ウルフ、ミリー・シャピロ、ガブリエル・バーン、アン・ダウド
上映時間: 127分

ネタバレなし感想。恐ろしくて怪しくて、狂気の塊!!

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(出典:Hereditary | Official Trailer HD | A24 - YouTube)


「へレディタリー」は、ただのホラー映画ではありません。

容赦なく精神を削ってくるホラー映画であると同時に、家族に降りかかる災厄の元凶を探るミステリ映画であり、斬新な悪夢的イメージが次々に呈示されるアートフィルムでもあるのです。

「へレディタリー」の怖さの質は、日本の恐怖映画にかなり近い。
目に見えないものの気配とか、暗闇の奥に何かがいる感じとか、こちらの第六感に訴えかけてくるような恐怖演出が非常にうまいんですよ。
特筆すべきは"音"の使い方ですね。
映画の中では、ある何気ない音が印象的に使われているんですけど……どうってことない音がこんなに恐ろしく聞こえるとは!と驚かされます。

ホラーの影に隠れたミステリ要素もこれまたおもしろい!
エレンの遺品や過去の人間関係から、彼女が抱えていた秘密が次第に明らかになっていく過程はスリリングのひとこと。
そこに「エクソシスト」を思わせるオカルト要素が絡んできて、物語は予想もつかない方向に転がっていきます。

またこの映画、初見では気づかないほどさりげない伏線のかたまりなんです。
もう一度鑑賞すると「あーっ!あのシーンはここにつながってたのか〜!」って理解できる場面がたくさんあります。
ぜひとも、怖いのを我慢して2回は観てほしい!
(ちなみに僕はちゃんと映画館で2回観ました。褒めてくれ)

さらに、覚めない悪夢のなかにいるかのような印象的なモチーフが映画をいろどります。
おぞましいのと同時に、不思議と高貴さや芸術性を感じるんですよ。
特に後半15分の畳み掛けはすさまじく、「エクソシスト」の階段をおりてくる少女くらいの衝撃がありましたね……

今年の洋物ホラー映画といえば「クワイエット・プレイス」がすでに話題となりましたが、もうね、そんなの目じゃないっす。
「へレディタリー」が軽々と今年ナンバーワンホラー映画の称号をかっさらっていきました!

2018年中の日本公開は決定しているものの、邦題や具体的な公開日は未定のようです。
決定次第、このブログでも情報更新していきますのでお楽しみに!!


以下、ネタバレあり


ネタバレありの内容考察。エレンは一家に壮大な呪いをかけていた!

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(出典:Hereditary | Official Trailer HD | A24 - YouTube)

さて、ここからは「へレディタリー」の具体的な内容に触れながら、映画の考察をしていきましょう!

まず映画そのものを要約すると、お話全体が「地獄の王・パイモンを召喚するための壮大な儀式」だと捉えることができます。

つまり……
「エレンは、パイモンをこの世に呼び出す目的のために、彼女の娘と孫を利用した」
という恐ろしい話なんですよ。


チャーリーは生まれたときからすでに悪魔だった?

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(出典:Hereditary | Official Trailer HD | A24 - YouTube)

ラストシーンで、ジョアンが話している内容をまとめるとこんな感じです。

  • エレンは、地獄の王・パイモンを崇拝する秘密結社の一員だった。
  • ピーターの中にはチャーリー(=パイモン)の魂が入っている
  • パイモンは男性の体を必要とするので、ピーターの体を利用した。

最後に「チャーリー、あなたはパイモン」とジョアンが語りかけていることから、チャーリーの魂はそもそも悪魔だったと考えるのが自然です。
エレンはなんらかの魔術によって、アニーにパイモンを身ごもらせることに成功した。
でもパイモンは男性の体を必要とするにもかかわらず、実際には女の子が生まれてしまった。
パイモンの召喚は不完全に終わったわけです。
だから、エレンは「チャーリーが男の子ならよかったのに」と言ってたんですね。

計画が達成されなかった組織は次の手段として、チャーリーの魂を男性の肉体に移すことを考えます。
そのための肉体として選ばれたのが、若く健康な男性であるピーターだった、というわけです。

教室の窓ガラスに鳩が激突した際、チャーリーだけがまったく動揺していないところにも、彼女がパイモンである証拠を見て取れます。
つまり、彼女には何が起こるか察しがついていたということでしょう。
ためらいなく鳩の首を切断しているのも、自分が何をすべきか理解しているからだと思われます。

チャーリーの死はすべて組織の仕業だった

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(出典:Hereditary | Official Trailer HD | A24 - YouTube)

ピーターがパーティーに向かう途中の場面で、事故現場となった電信柱の側面に組織のマークが描かれているのがわかります。
つまり、あの事故も組織の計画の一部だったんですね。
アニーがピーターに、チャーリーを連れて行くように言ったのも……
ナッツの付着したナイフで切られたケーキを食べて、チャーリーが呼吸困難を起こしたのも……
道のど真ん中に犬の死体が置かれていて、ピーターが急ハンドルをきらなきゃいけなかったのも……
すべてが組織によって仕組まれていたんです。

チャーリーの魂を移しかえるってことは、一旦は体の外に出さなきゃいけない = 死ななきゃいけないってことなんでしょう。

この組織は人の運命をあやつる術をもっているようで、それはアニーがジョアンに連絡を取る場面でも確認できます。
彼女がジョアンのことを思い出したきっかけは、絵の具の瓶を倒してしまったことでした。
ところが、絵の具の瓶は勝手に倒れているんですよ。
なんらかの超自然的な力で倒されたってわけです……

たびたび登場する謎の光はなに?

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(出典:Hereditary | Official Trailer HD | A24 - YouTube)

怪現象が起こる直前に現れる光の輪。
最初に登場するのは、部屋で鳩の首とたわむれているチャーリーの場面です。
ここでの光の輪はエレンで、チャーリーに鳩の首を持ってこさせたのだと思います。
鳩の首はなんらかの方法で組織の手に渡ったはずです。
なぜなら、チャーリーはこの晩に事故で死んでしまうので、その後では鳩の首を取り戻すチャンスがないからです。

その後、光の輪はピーターの前に何度か現れますが、これはチャーリーですね。
「コッ」っていう舌打ちが聞こえることからも明らかです。
依代となる肉体を狙うべく、チャーリーがつけ狙っていたのだろうと思われます。

チャーリーに笑いかけていた人たちは誰?

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(出典:Hereditary | Official Trailer HD | A24 - YouTube)

劇中、チャーリーにニヤリと笑いかけていた意味深な人々がいましたね?
ひとりは、葬式の場面で棺の横に立っていた背の高い男性。
もうひとりは、小学校の外で手を振っていた中年女性です。

彼らもまた、エレンの秘密結社のメンバーでした。
ちょっと気づきにくいですが、彼らはラストシーン近くで再登場してるんですよ。
男性は、ピーターが憑依されたアニーに追いかけられる直前、部屋の奥に立っていました。
女性はといえば、ピーターが屋根裏部屋に逃げ込んだ際に現れた3人の男女の左端で、同じように手を振っています。


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世界中にオカルトブームを巻き起こした、ホラー映画の傑作!
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レーガンがしだいに人間離れした姿に変容していく様子がむちゃくちゃ怖い。
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「ローズマリーの赤ちゃん」

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ある晩ローズマリーは失神してしまい、自身が悪魔に犯される夢を見る。
自分は悪魔の子供を身ごもってしまったのか……?
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