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「猿の惑星: 聖戦記」の感想。新3部作のラストにあるまじき完成度。どうしてこうなった!

「猿の惑星」シリーズの最新作、「猿の惑星: 聖戦記」を日本での公開にさきがけてニュージーランドで観てきました!

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言わずと知れたSFの名作「猿の惑星」の前日譚を描く新三部作の完結編。

率直に感想を述べるとひどすぎの一言です。前2作を観てなかったので「えっ猿の惑星ってこんなひどい映画なの!?」と思ってあわてて第一作「創世記」と第二作「新世紀」も観ましたが、いやいやどちらも面白いじゃないですか。

どうして肝心の完結編がこんなことになっちゃったんだ! 嘘だと言ってくれよ! という悲しみと怒りのもとに、できるだけネタバレ無しで感想を書きたいと思います。

演出にリアリティが無さすぎて話を追うのがつらい

「聖戦記」は全体的にリアリティが無さすぎです。猿が地球を支配する映画にリアリティも何もないだろって言う人いるかもしれませんけど、ほら最低限の説得力ってものがあるじゃないですか。

たとえば、主人公で猿たちのリーダーであるシーザー。彼、シリーズが進むにつれて英語がどんどんうまくなってるんですけど、今回はあまりに人語がうまくなりすぎて、ほかの猿との会話シーンのリアリティがなくなっちゃってるんですよ。

今回登場する猿の中で、シーザーだけは流暢な英語を操ります。彼が英語で何か話すと、それ以外の猿はみんな、手話と「ハッ!ホッ!」といった鳴き声だけで会話を返すんです。

……これだけでも不自然じゃないですか? 言ってみれば、周りがみんな英語で会話してる中、自分だけ日本語を話してるようなもんです。それやりにくいでしょ? しかも戦闘シーンでもずっとそんな感じなんですよ。戦闘中にリーダーが周りと違うプロトコルでしゃべってちゃまずいよ!「創世記」「新世紀」では、シーザーも声と手話を併用して会話してたので不自然さは無かったんですが、今作では手話を全然使ってないので、観てて「ほんとにこれで意思の疎通ができてるのか?」と気持ちが悪いんです。

ほかには、人間側のリーダーとして登場するコローネル。彼は米軍から独立して行動を取っている戦闘集団の絶対的リーダーという描かれ方をしてるんですが、行進している兵隊たちに姿を見せるとき、スキンヘッドにカミソリ当てながら出てくるんですよ……。いやいやいや、なんで? こういう組織のリーダーはそんな無防備な姿をそう簡単に見せちゃダメでしょ! もっとビシっとしようよ!

あとは、基地なのに異様に警備がザルとか、地下道からそんなに簡単に地面に穴開けられないだろとか、数えだしたらキリがないです。

コメディ要素の入れ方が明らかに変

今作では、片言の人語を話すチンパンジー、バッドエイプがコメディ要員として登場します。彼のシーンはね、確かに笑えます。おもしろいです。劇場でも爆笑が巻き起こってましたし僕もだいぶウケました。

でも、どー考えても笑わせるタイミングがおかしいと思う。

例を挙げると、コローネルたちの基地に囚われてしまったシーザーを、仲間たちが双眼鏡で確認するシーン。バッドエイプだけ双眼鏡を前後逆にしてしまって「あれ〜小さくて見えないぞ〜」ってぼやく場面があります。文章に起こすとしょうもないですが、まぁ笑えるシーンなんですよ。

ただこんな緊迫した場面で、笑い要りますかね? これがピクサーのアニメなんかだったら、決戦の最中にギャグを入れるのもありだと思います。でも「猿の惑星」ですよ? 猿と人間がガチの殺し合いをする映画ですよ?

この後もバッドエイプが笑わせに来るシーン、たくさんあります。でもどれもこれも作戦行動の真っ最中。彼のギャグが挟まるたびに緊張感が無くなっちゃうんです。バッドエイプ、名前に反してめっちゃいいやつなのに活躍のさせかたが悪すぎる。かわいそう!

人類側の負け方があまりにアホすぎ

「猿の惑星」新三部作は、なぜ人類が滅亡して地球が猿の惑星になったかっていうお話なので、これくらいはネタバレじゃないと思って書きますが、最後はあるカタストロフが発生して人類が壊滅的な負け方をします。今作の最大の見せ場と言ってもいいでしょう。事実、映像的にはかなり迫力があるシーンで、よくできてると思います。

ただね……そのカタストロフがあまりにもアホすぎるんですよ。なるべくボカして書くと、それ予想できなかったの? ってこと。そこでそんなことしたら、そりゃそーなるでしょと。実際に観ていただければ意味がわかります。

考えすぎなければスルーできる内容なのかもしれませんが、うーん、僕はどうしても気になっちゃいました。

シーザーの最後の見せ場が取ってつけた感満載

さていよいよラストのラスト、主人公シーザーの最後の見せ場。とっても感動的な場面が用意されています! 用意されているのに! またまたリアリティが無い! あからさまに取ってつけた感が出てて、シナリオが破綻してるとしか言いようがありません。

「お前、明らかに映画的にタイミング合わせてきただろ!」とツッコみたくなっちゃう場面になってるのですよ、せっかく感動的なのに。すんごく美しい画で、旧三部作にも通じる重要なシーンなのに。

過酷な運命を背負いながら、大勢のサルたちを率いて大活躍してきたシーザーのラストシーンがこれじゃああんまりじゃないですかね……。

邦題の「聖戦記」ってのもどうなの?

個人的には、「聖戦記」という邦題にも疑問があります。

確かに劇中、Holy War = 聖戦という言葉は出てきます。出てきますけど、聖戦と呼んでるのは人間側のコローネルなんです。つまり、タイトルに「聖戦」って入れたら、人間オンリーの視点になっちゃうんですよ! 「猿の惑星」は猿と人間との関係性を描いた物語ですけど、どちらかと言うと、猿の視点から人間の愚かさとか傲慢さをあぶり出す要素が大きいでしょう。人間様のポジションをタイトルにいれちゃあやっぱりダメだと思いますよ……。

もともとの邦題は「大戦記」だったんですよね。これは「グレート・ウォー」というサブタイトルに引き継がれたみたいですが、なんで変えちゃったのかなぁ。



「創世記」「新世紀」がかなり面白い作品なだけに、シリーズのファンの人ほど完結編「聖戦記」には幻滅するでしょう。が、2作観ちゃったら最後も劇場で観ちゃうのがファンというもんでしょう。いや、三部作映画とは全てそういうものなのかもしれません。ため息覚悟で映画館にゴーです。

日本での公開は10月13日!

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