MoyaCinema

ニュージーランド発の映画ブログ

映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のネタバレ感想。心底怖いのに最後は泣ける、子供たちの成長物語!

スティーブン・キングのホラー小説を原作とした映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」を鑑賞してきました!

f:id:imo_jo_chu:20170922200715p:plain
(出典 IT: Get Tickets | Warner Bros.)


以下、映画序盤のあらすじと、ネタバレ込みの感想です。事前知識なしで鑑賞したい方はご注意を!!

あらすじ

1988年の10月、アメリカ、メーン州の町・デリー。

ある雨の日、ビルは弟のジョージーに紙で作った船をプレゼントした。ジョージーは雨で川のようになった道路に舟を浮かべて遊ぶが、舟は排水口から用水路に流れ落ちてしまう。

残念そうに排水溝を覗きこむジョージーだったが、その目の前に「ペニーワイズ」と名乗る不気味なピエロが現れた。「舟を返してあげる」というペニーワイズ。

ジョージーが腕をのばすと、ペニーワイズは鋭い牙をむき、彼の右手を食いちぎった。必死でその場から逃げようとするジョージーだったが、そのまま排水口に引きずり込まれてしまった……。

それから8ヶ月後の、1989年6月。ビルはいまだにジョージーが行方不明になったことを受け止められずにいた。彼の死体は発見されていなかったのだ。排水口の模型を作り、父親に「ジョージーは町外れのバレンズ地域に流された可能性が高い」と訴えるが、父親からは「ジョージーは死んだんだ」と聞き入れない。

そんな中、ビルの友人のひとりが配達の仕事の途中に、倉庫の扉からのびてくる黒焦げの腕を目撃する。ほかにも友人の多くが、首のない少年や、額縁から抜け出して動く絵など、謎の怪物に出くわしていた。ビルもまた、自宅の地下倉庫でジョージーの姿をした"何か"と、不気味なピエロと遭遇する。

町の歴史を調べていた友人の証言を元に、デリーには27年おきに子供の集団失踪が発生しており、その影にはピエロの姿をした"それ(イット)"が関わっていることを、ビルたちは知る。ジョージーもまた"それ"の手にかかったのだと確信したビルは、これ以上犠牲者を出さないために、友人たちとともに対決にのぞむのだった。



↓以下、ネタバレを含みます↓

リメイク版のペニーワイズは"怖さ"倍増!!

1990年に作られた劇場公開作品のリメイクとなる今作、気になる大きな違いは、"それ"ことペニーワイズの造形です。とにかく今回のペニーワイズは怖さに振り切ってます。生命の危険を感じる恐ろしさ! まさか「アナベル」より怖いとは思わなかったよ。

↓こちらが1990年版のペニーワイズ。↓

A clown, Pennywise (played by Tim Curry), rips through a white wall, using his two three-fingered claws, with an evil expression on his face. Behind him is an entrance to a sewer.
By Source, Fair use, Link

どちらかというとサル系統の顔つきに、ポスターには映ってませんが、鮮やかな黄色の衣装。劇中の登場シーンでも遊園地やサーカスを思わせる牧歌的な音楽が流れたりして、怖さの中にもユーモラスさの漂う演出になっています。

↓中身が気になる方は Amazon でどうぞ!↓


↓で、こちらがリメイク版のペニーワイズ↓

http://itthemovie.com/post/164611645824
tmblr.co


キツネや狼を彷彿とさせる狡猾な顔つきに変化してるし、衣装の色は薄汚れたグレー。90年版のような鮮やかさはなく、闇の世界の住人という感じがします。

しかもこのペニーワイズ、口がヘビみたいにぱっっくりと開き、その中はサメのように二重三重にキバがびっしり生えてるという気持ち悪さ!! 冒頭のジョージーのシーンも、90年版とほぼおなじ構成ながら、前作には無かった右手を食いちぎるシーンが追加され、残酷さが格段にアップしています。これは子供が観るには刺激が強い。

また、ペニーワイズはいろいろな姿に化けて子どもたちの恐怖を煽るんですが、これがいちいちメチャこわなんですよ。絵から抜け出してくる不気味な女性の絵なんか、精神的にかなり"くる"造形で、夢に見ちゃいそう。

特に怖かったのは、ビルの倉庫の壁から巨大なペニーワイズが現れるシーン! これは劇場の大スクリーンで見てるのもあいまって、死の恐怖を感じるほどの恐ろしさでした。会場からはリアルに悲鳴があがってましたよ。

しょせん、子供の出てくる映画でしょ〜とタカをくくって観に行った人は、痛い目を見たんじゃないでしょうかね。

子供が「恐ろしいもの」を克服して大人になる成長物語。ラストの誓いを立てるシーンは落涙もの!

http://itthemovie.com/post/164611677689
tmblr.co


ペニーワイズの正体は、子供の恐怖をむさぼり食う怪物でした。27年ごとに目覚めて、冬眠に必要な栄養を蓄えてまた眠りにつく、というサイクルを繰り返してたんですね。

だから、標的とする子供それぞれにとって、最も恐ろしいものに姿を変えて現れるんです。それは例えば、幼いころの火事の記憶であったり、写真で見た爆発事故の犠牲者であったりする。日本でリメイクするなら、顔のように見えるタンスの木目なんかが題材に上がるでしょうね。

これは、ペニーワイズが大人の目には見えないことの説明にもなっています。子供にとって怖いものでも、大人になったらなんてことありませんよね。少年たちのペニーワイズとの対決は、子供が大人になるための階段ととらえることができるんです。

ストーリーを振り返ってみると、劇中では、子供を子供のままにしておく仕掛けが数多く散りばめられていました。

ヒロインであるベヴァリーは、父親から性的虐待を受けていて、その恐怖に逆らえずにいます。エディーは過保護な母親から「あなたは病弱だから」と大量の薬を渡され、過剰ともとれる愛情をそそがれていました。そして、主人公のビルは、弟・ジョージーの失踪から立ち直れずにいたんです。

でも最後の対決に向けて、彼らはひとつずつ恐怖を克服していきました。

ベヴァリーは父親を殴り殺し(!)、エディーは母親に薬をたたきつけ、それぞれ束縛から逃げ出した。そしてビルは、弟に化けたペニーワイズの正体を見抜き、「お前はジョージーじゃない!」と銃の引き金を引くのです。

子供から恐れられなくなったペニーワイズにもはや力はなく、井戸の底へと落ちるしかありませんでした。

ラストシーンで、ビルとその友人たちは「もしあいつが現れたら、またみんなでこの町に集まろう」と誓いを立てます。そこで、割ったガラス瓶で、互いの手のひらを傷つけあうんですね。血の誓い、血判状ですよ。子供は転んだりケガをしたりすると必ず泣きますけど、そこで泣かなくなったってのは、おとなになったってことじゃないですか。

もうねー、こういう場面は30過ぎると涙が出てきますね。子育てする親のうれしい気持ちが少しわかる気がします。子供が成長するのを見るってのはいいもんですよ!

屋敷の中に現れた「3つの扉」の意味は?

http://itthemovie.com/post/164611798169
tmblr.co

ペニーワイズとの最初の対決の場面で、ビルと友人のリッチーが謎の部屋に閉じ込められます。そこには3つの扉があり「超怖い」「怖い」「全然怖くない」と血文字で書かれていました。

ここで、リッチーが迷わず「全然怖くない」の扉を選ぶんですよ。それで案の定、中には下半身がちぎれた幽霊が待ち受けていて「全然怖くないなんて嘘じゃん!」って展開になるんですが。

つまり、この時点ではみんな子供だったってことですね。恐ろしいものに真正面から立ち向かう勇気がないと。だからペニーワイズに勝てなかったんです。

そんな臆病者だったリッチーが、最後の対決ではペニーワイズに最初の一撃を食らわせる役割を担うのですから、ここでも子供の成長を見ることができます。

ヘンリーはなぜ殺人鬼になってしまったの?

http://itthemovie.com/post/164611594739
tmblr.co

劇中、ビルたちを執拗にいじめる上級生グループのリーダーとして、ヘンリーという少年が出てきます。こいつら15歳にもなるのに、年下相手にナイフまで出して嫌がらせをする、まあどーしようもない連中なんですけど。

このヘンリー、終盤ではペニーワイズにそそのかされて、警察官の父親を惨殺し、その勢いでビルたちを殺すための手先になってしまいました。子供番組の歌のお姉さんと子供たちが「Kill them all!」と歌うシーンはなかなか怖かった……。

これは、ヘンリーが15歳にもなりながら、まだおとなになりきれていなかったが故に、ペニーワイズにつけこまれてしまったんです。

ヘンリーたち不良グループは、年下相手にはやたら威勢がいいですが、大人たち、特に親には頭が上がりません。父親の拳銃を持ち出して遊んでいたとき、その様子を見つかって父親にこっぴどく絞られますが、ヘンリーは手を震わせて怯えています。ちょっとお父さんの教育の仕方に問題があるようにも見えますが、ヘンリーは親には逆らうことができなくて、その鬱憤を無力な年下に対して晴らしていたんですね。つまり、まだまだお子ちゃまであった。

だから、大人には見えないはずのペニーワイズを見ることができた。精神的な成長ではなく、ナイフという見せかけの力で父親を"克服"しちゃったわけです。

まだまだ"イット"は終わらない。第2章がくるぞー!!

エンドクレジットを最後まで観ると、なんと「IT CHAPTER 1(第一章)」というタイトルが登場します。

そう! この恐怖は前編にすぎなかったのです!

そもそも1990年版も、子供時代と大人時代を前後編に分けた、3時間超えの大作でしたからね。このリメイク版も、おとなになったビルたちを描いた第二章が予定されてるってわけ。いやー、楽しみです! いったいどんなキャストが演じてくれるのかも気になるところ。期待して待ちましょう!!