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【ネタバレなし】『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』の感想。男性vs女性なんて単純な話じゃなかった!

実際に行われたテニスの男女対抗戦を題材にした映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を鑑賞してきました!

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(出典: Battle of the Sexes | 20th Century Fox NZ)

以下、ネタバレなしのあらすじと感想です。

あらすじ

男女の社会的格差がまだまだ大きかった1972年。女子テニスのトッププレイヤーとして活躍していたビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン)は、男子に比べて女子の賞金が8分の1程度しかない状況に業を煮やし、男女平等を勝ち取るための運動に身を投じていた。

一方、かつての男子ウィンブルドン王者で男性至上主義のボビー・リッグス(スティーブ・カレル)は、女性の地位向上を求める声が大きくなっている現状を快く思っていなかった。

「男のほうが女より力もあるし、興行としても面白い。そんなに女性が優れていると思うなら、真剣勝負で俺を倒してみろ!」と、ボビーはビリーに挑戦状を叩きつける。こうして、全米のゴールデンタイムにテレビ中継された伝説のテニスマッチ「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」が幕を開けた!」

主演ふたりの成りきりっぷりがすごい。テニスシーンもまるで本物!

まず、ビリー・ジーン・キングを演じるエマ・ストーンですよ。「ラ・ラ・ランド」での、キラキラガーリー!な役どころが記憶に新しい中、「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」では、正直ちょっとモッサリした感じ……のビリー・ジーンに完璧に変身してます。比較してみれば一目瞭然、見てみましょう。

↓こちらが本物のビリー・ジーン・キング↓

Billie Jean King ©Lynn Gilbert 1978.jpg
By Lynn Gilbert - Own work, CC BY-SA 4.0, Link

で、こちらが今作のエマ・ストーン。
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(出典: Battle of the Sexes | Official HD Trailer | 2017)

そっくりすぎない!?

予告編やポスターでは、それでもだいぶキラキラよりの表情やカットを選んでるんですよね。実際はほとんどスッピン、顔のそばかすなんかもさらけ出しちゃってます。「ラ・ラ・ランド」からは想像もつかないくらい印象変えてますよ。女優ってすげえ。

さらにびっくりするのは、相手役のボビー・リッグスを演じるスティーブ・カレル。こちらも普段はイケてるおじさんなんですが、キダ・タローそっくり(by 町山智浩)のボビーそのものになっちゃってますよ。

下のリンク先に、ビリーとボビーのツーショットが載ってるんで、ぜひ確認してください。この写真、映画のエンドロールでも出てくるんですけど、本編見た後だと本物の写真なのか、映画のメイキングなのか見分けつかない。

ftw.usatoday.com


そしてそして、見どころであるテニス対決のシーンがこれまた圧巻! 映画的な演出がほとんどなく、本物のテニス中継かのように撮られてる。役者の動きをカメラワークでごまかすようなことは一切やってません。主演の2人は猛特訓をして、CG無しで試合シーンの撮影に臨んだとか。

この試合の場面がけっこう長いんで、映画を観てるのかテニス中継を観てるのかだんだんわかんなくなってくるんですよ。実際の試合だから結果はわかってるはずなのに、手に汗握りながら勝負の行方を見守ることになる。作品世界に引きずり込まれるってのはこういうことなんですな。

男性 vs 女性という単純な図式ではない。今の時代にこそ必要なエピソード

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」=「性別の戦い」というタイトルから、この映画は「男性優位社会で平等を勝ち取ろうとした女性の物語」だと想像されるかもしれません。が、実際に描かれているのは、男性 vs 女性という単純な対立ではないんです。

主人公であるビリー・ジーン・キングは、実は女性の中でもさらにマイノリティな存在だったんです。これは予告編からも察することができるし、おそらくアメリカでは有名な話なんじゃないかな。女性を代表して戦うように見えるビリーですが、決して女性の多数派を代表しているわけではなかった。ここに彼女の葛藤があって、全編を通じて観客の胸を締め付けてきます。

極めつけは、映画の最後、ビリーでもボビーでもない第三の人物によって発せられるセリフ。これが重いんだ。対決が行われてから50年が経とうとする中、この世界は、映画を観ている我々の価値観は変わっただろうかと訴えかけてくる、力のある一言でした。

残念ながら日本での公開予定は未定ですが、今の日本でこそ上映してほしい作品ですよこれは。配給会社の営業の皆さんひとつよろしくお願いしますぜ。